FX(Foreign Exchange)とは外国為替証拠金取引のことで、外国通貨を売買して発生した差額を利用した取引のことです。
ここでは、初心者の方向けに仕組みやリスク、通貨について解説しています。
【基本】FXの仕組み
FXで得をするか損をするかは為替レート(自国通貨と外国通貨の交換比率)によって決まります。
例)
1ドル=100円の時、1万円で100ドル買います。
100ドル×100円=1万円
1ドル=110円になった時、この100ドルを円に戻すと1万1000円と交換できるため、1000円得をします。
100ドル×110円=1万1000円
→1ドル=100円の時に比べ、1000円の利益が発生
また、1ドル=90円になった時、この100ドルを円に戻すと9000円になり、1000円損をします。
100ドル×90円=9000円
→1ドル=100円の時に比べ、1000円の損失が発生
このように、為替レートを利用して取引をします。タイミング良く売買することがポイントです。
FXにおける10つのリスク
少額からスタートでき24時間いつでも取引ができるFXですが、リスクがつきものです。ここでは、FXにおいて考えられる10つのリスクを解説しています。成功するためにあらかじめリスクを学んでおきましょう。
①為替変動リスク
為替レートの変動によって得をするか損をするか決まるのがFXの特徴であると同時に、リスクでもあります。
24時間変動している為替レートですが、予想通りに変動しなかったり予想すらつかなかったりするほど、その変動は不確実なものであり、長期間外貨から円に戻せず損をしてしまう場合もあることを意識しましょう。
→回避するには、ロスカットを設定すること!
ロスカットとは、証拠金維持率が一定水準を下回った場合に強制決済することです。これを設定しておくことで、損失の拡大を防止できます。また、資金が拘束されないため、他の投資に資金を回すこともできます。
※証拠金維持率は以下の計算で求められます。
証拠金維持率=時価評価総額÷必要証拠金×100
②金利変動リスク
低金利の通貨で高金利の通貨を買うことで、スワップポイント(2国間の金利差)を受け取ることができます。
しかし、金利が変動しスワップポイントが減ったり、金利が逆転してスワップポイントの支払いが生じたりすることも十分考えられます。
→回避するには、安定した外貨を選ぶこと!
金利が5%以上の外貨は急落することもあるため注意しましょう。高金利の外貨の中ではオーストラリアドルが安定性があります。
③レバレッジリスク
レバレッジ(レバレッジ効果)とは、少ない証拠金にレバレッジをかけて大きな利益を得ようとすることで、てこのような仕組みです。
しかし、証拠金にかけたレバレッジの分だけ利益を発生させることができる一方で、相場が変動して負けてしまうとレバレッジの分だけ損をしてしまいます。
→回避するには、低いレバレッジにすること!
そもそも高いレバレッジは数時間程度の短期のトレードに向いており、数ヶ月先のことが読めない中長期のトレードには向いていません。
低いレバレッジにしていても予想が外れてしまった時は、損失が拡大しないうちにロスカットしましょう。
※レバレッジは以下の計算で求められます。
レバレッジ=取引金額÷証拠金
④ロスカットリスク
ロスカットは損失を食い止めるものです。
しかし、相場が急変して売買が成立できない場合や、週またぎで為替レートが乖離して逆指値注文を発動できず、巨額の損失が発生する場合もあることに注意する必要があります。
⑤強制決済リスク
強制決済は成行注文で行われますが、相場の変動が大きいと取引がなかなか成立できなかったり、予定していたはずの為替レートよりも乖離して追加で証拠金を支払ったりすることもあります。
⑥スリッページリスク
スリッページとは、投資家が注文したレートと実際に約定したレートとの間にずれが生じることです。この時マイナスのずれ(ネガティブ・スリッページ)が生じ、損をしてしまうこともあります。
⑦流動性リスク
流通の少ない通貨を交換する時、希望した価格で売れないこともあります。
人気のない通貨や市場に出回る量が少ない通貨は、流動性リスクを懸念しておく必要があります。
⑧電子取引リスク
電子取引リスクとは、ネット回線やサーバー、通信機器がダウンして取引が一時的に停止することです。
→回避するには、高品質なFX会社を利用すること!
利用するFX会社を決める時は、システム稼働率やアクシデントの発生率、セキュリティーなどをチェックしましょう。
大手FX会社ならばサーバー稼働率が高いため安心です。また、使っているモバイル端末に不具合がないかを確認しておくことも大切です。
⑨相対取引リスク
FX会社が提示する為替レートは、複数の世界的な金融機関の為替レートからFX会社が独自に生成している数値です。
そのため、一般的な市場の為替レート価格差が生じることがあります。つまり、正確な為替レートが配信されず、損失を被るリスクがあるということです。
⑩信頼リスク
FX会社はトレーダーとは逆の通貨ペアで売買(反対売買)を行っており、顧客とは損益分のみを受け渡ししています。
つまり、外国為替市場ではトレーダーがFX会社に買い注文をすると、FX会社がカバー先の金融機関に売り注文をして、カバー先の金融機関がインターバンク市場で売買の対照をしているという仕組みになっているのです。
そのため、トレーダーとFX会社、FX会社とカバー先の金融機関、カバー先の金融機関とインターバンク間において、適切な運営が行われていなければトレーダーは損失を被ってしまいます。
→回避するには、信用力の高いFX会社を利用すること!
信託保全は証拠金の安全を保障することを目的としており、仮にFX業者が倒産しても債権者は、信託銀行に預けた証拠金に関して強制執行や仮差押などを行うことができません。
つまり、証拠金を信用銀行に全額信託保全しているFX会社の方が安全性が高いといえます。
様々な通貨
マイナーな通貨でも取引できるのがFXの特徴です。
ここでは、基本的な通貨について解説しています。
アメリカ・ドル
世界の基軸通貨であるアメリカ・ドルは取引が活発です。アメリカの情報は他の国と比べて早く伝わってくるため投資判断がしやすいです。
また、アメリカ・ドルと日本円のペアは極端に変動しないため、初心者でも扱いやすいです。
カナダ・ドル
為替レートは比較的安定しているカナダ・ドルですが、貿易が活発なアメリカの影響を受けやすい傾向があります。
オーストラリア・ドル
金利が高く、スワップポイントも高いのが最大の魅力です。他の国に比べ政治・経済が安定しているため信頼度が高い一方で、取引量が少ないため為替レートが変動しやすいです。
ニュージーランド・ドル
スワップポイントが高いのが特徴です。為替レートが大きく変動することもあり、為替差益も狙えます。
ユーロ
取引量がアメリカ・ドルに次いで世界第2位のユーロはドイツの影響を受けやすく、扱う時はドイツを中心に情報を追うと良いです。
特徴として、ドルが下がるとユーロが上がりユーロが下がるとドルが上がる傾向があります。世界各国の政府や中央銀行ではユーロの保有高を増加させる傾向にあり、今後ますますユーロの需要は高まるでしょう。
しかし、地理的にユーロ加盟国の情報が入手しにくい日本人にとっては投資判断が難しい通貨といえます。
スイス・フラン
2001年のアメリカ同時多発テロ以降、アメリカ・ドルの信頼が薄れたため有事の際にはスイス・フランが買われる傾向があります。
南アフリカ・ランド
金利が高く、スワップポイントも高いですが、変動が大きい通貨です。南アフリカには金やプラチナなどの資源があり、資源価格が上がると通貨の価値も上がる可能性があります。
イギリス・ポンド
変動が大きいためデイトレードに向いている通貨です。スワップポイントも高いので、取引に慣れたら挑戦してみるのも良いでしょう。