責務整理とは、借金の額を減らして重い金利負担から解放される手続きのことです。現在、日本には200~300万人もの人が借金問題で悩んでいるといわれています。しかし、実際に法律家に相談して借金の整理をする人はほんの一部です。どんなに大きな額の借金でも法律で整理できない借金はありません。債務整理を知って、借金を整理しましょう。
ここでは、債務整理の方法を紹介しています。
債務整理の4つの方法
債務整理には、任意整理 ・民事再生 ・自己破産・過払い金請求の4つの方法があり、それぞれにメリットとデメリットがあります。
①任意整理
任意整理とは、自己破産や民事再生のように裁判所を利用することなく、弁護士や司法書士が貸金業者と交渉し、分割して返済しやすく するものです。原則として取引開始時にさかのぼって利息制限法の上限金利(15~20%)に金利を引き下げて再計算することで減額された元本のみを分割して返済すればよいため、将来の金利や遅延損害金を返済する必要がなくなります。また、月々の返済額も生活に支障のない範囲に減額することが可能です。任意整理をする場合には、安定した収入があることが条件となります。
○メリット
・裁判所を通さずに司法書士・弁護士が貸金業者(消費者金融など)と交渉をするため、負担が軽く、周囲に知られることなく手続きができる
・司法書士・弁護士に任意整理の依頼をすることによって、すぐに督促が止まる
・重い金利負担となる将来利息はカットされる
・自己破産や個人再生のように官報に掲載されることがないため、第三者に知られることがない
・自己破産のような職業制限や資格制限がない
・自己破産や個人再生では全ての貸金業者(消費者金融など)を対象に入れて手続きをしなければならないが、任意整理であれば保証人付きなど特定の貸金業者(消費者金融など)のみを除いての手続きができる
・過払い金が発生していた場合は、臨時収入として受け取ることができたり、借金が減額になったりする
○デメリット
・5年程度はブラックリスト(信用情報機関)に載ってしまうため、その間新規の借り入れやカードの利用、ローンを組むことができなくなる
・まれに強硬な貸金業者(消費者金融など)であると和解が成立しないことがある
・任意整理は、借金の全額または一部の免除を受ける自己破産や民事再生と異なり、原則として借金の元本全額を支払う手続であるため、これらの手続に比べ返済額が多くなることが一般的である
※減額後の借金を3年程度で返済できる方は、任意整理でも引き直し計算や金利等のカットにより原則として返済額が減額されます。
②民事再生
民事再生とは、住宅等の財産を維持したまま減額された借金を(減額の程度は、借金の額や保有している財産によって異なります)原則として3年間で分割して返済していくという手続です。減額後の借金を完済すれば、住宅ローン以外の借金については法律上返済する義務が免除されます。民事再生は、自己破産のように借金全額の返済義務がなくなるわけではありませんが、自己破産のように高価な財産が処分されることもありません。また、自己破産の場合は生命保険募集人等一定の職業に就けなくなりますが、民事再生の場合は資格制限はありません。そのため、借金額が大きく全額を返済することは困難であり、処分されたくない高価な財産を所有している場合や自己破産をすると職業を継続できなくなる方に有効な手続です。
○メリット
・住宅ローンがあっても自宅を手放さなくて済む
・借金が大幅に減額される
※借金の総額によって減額される金額は変わります。
・自己破産のような資格の制限がない
・自己破産と違い、ギャンブルや浪費が原因であっても手続きすることができる
・自動車など、20万円以上の価値があるものを処分せずに手続きができる
・申立後は貸金業者(消費者金融など)の督促が止まる
※専門家に依頼していればその時点で督促は止まります。
○デメリット
・10年以内はブラックリスト(信用情報機関)に載ってしまうため、新規の借り入れやクレジットカードが作れなくなる
・官報に掲載される
・債務整理の中で最も手続きが複雑なため、費用、手間、時間がかかる
・任意整理のように一部の貸金業者(消費者金融など)を除外しての手続きができない
③自己破産
自己破産とは、財産等を欠くために支払時期が到来しても、継続して全ての借金を支払うことができない状態であることを裁判所に認めてもらい、法律上借金の支払義務を免れる制度です。支払い不能かどうかは、債務者の負債の額や収入、資産等の状況から総合的に判断されます。自己破産をすると、原則として全ての借金を支払う義務がなくなるため、借金に追われることなく収入を生活費に充てることができます。
○メリット
・借金が免除される
※滞納税金等の支払い義務は残ります。
・自己破産は客観的に支払いが困難であれば誰でも手続きができる
・申立後は貸金業者(消費者金融など)からの取り立てが止まる
○デメリット
・10年以内はブラックリスト(信用情報機関)に載ってしまうため、新規の借り入れやクレジットカードが作れなくなる
・マイホーム等の価値のある財産(原則20万円以上)は処分される場合がある
・3ヶ月~半年間程度、一部の職業につけない
・事情によっては借金が免除されない場合がある
・官報に掲載される
④過払い金請求
過払い金とは、本来支払う必要がないにもかかわらず、貸金業者に支払い過ぎたお金のことです。
借入期間が5年以上で金利が18%を超える方は,過払い金が発生している可能性が非常に高いです。払い過ぎたお金を計算し、その額を返還請求することにより、お金を取り戻すことができます。また、過払い金は最後に借入・返済をした日から10年が経過すると時効となり、消滅してしまいます。時効が完成すると,過払い金を取り戻せない可能性が高まります。
○メリット
・裁判所を通さずに司法書士・弁護士が貸金業者(消費者金融など)と交渉をするため、負担が軽く、周囲に知られることなく手続きができる
・完済された過払い金返還請求は ブラックリスト(信用情報機関)に登録されない
・過払い金返還請求をすることで、払いすぎた利息が返ってくる可能性がある
○デメリット
・過払い金返還請求をすると、二度とその消費者金融からお金を借りることができない可能性がある